スポットクーラーと冷風扇・冷風機の違い【メリット・デメリット】

工場でスポットエアコンを浴びる作業員 夏場の暑熱対策、熱中症対策として、よく取り上げられるのが、「スポットクーラー」と「冷風扇(冷風機)」です。しかし、この2つの違い・効果をよくわからないまま検討している人も少なくありません。 今回は、「スポットクーラー」と「冷風扇」の違い、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。 結論から言うと、「日本の屋内、特に作業場、体育館では、スポットクーラーを積極的に導入すべき」です。その理由もあわせて書いていきます。

■スポットクーラーと冷風扇の違い

スポットエアコンと冷風扇比較 スポットクーラーと冷風扇には、どのような違いがあるのか。それぞれ解説していきます。

■スポットクーラーとは

スポットクーラーはエアコンの一種で、エアコンと同様にヒートポンプによって動かされていて、樹脂や金属でできたハウジングの中に収められています。ヒートポンプは、室内機と室外機(または蒸発器・凝縮器)およびその間の銅管に冷媒が循環していて、その冷媒が気体や半液体、液体に繰り返し変化する特性を利用して空気を冷やしています。アルミニウムと銅管で構成された熱交換器(冷房の場合、蒸発器となる)が物理的に冷たくなって、そこにファンで風を送るので涼しい風を送り出せるのです。また、空気中の湿気が熱交換器に結露するので、温度を下げるときにあわせて湿度も下げられます。夏場の室内でエアコンを使うと、部屋の温度も湿度も下がりますが、それと同じ原理です。 スポットクーラーは、エアコンの風を特定の範囲に集中して空間単位で温度を下げられます。そのため、快適な温度を維持する必要がある場所だけに使ったり、密閉された空間で使ったりするのに適しています。つまり、熱中症対策が必要になる場所(=人間が作業をしている場所)を狙って冷やすことができるのです。

■冷風扇とは

冷風扇とは、水の気化熱を利用して空気の温度を下げて送風する機械です。冷風扇では、気化した水蒸気も一緒に送風するため、温度は下がる一方で湿度は上がります。使用するときに湿度が上がってしまうところが、スポットクーラーと冷風扇の大きな違いの1つです。

スポットクーラーのメリット・デメリット

スポットクーラーのイラスト スポットクーラーのメリット・デメリットについて解説していきます。

■スポットクーラーのメリット

スポットクーラーには、以下のようなメリットがあります。

メリット1:素早く冷却できる

スポットクーラーは、特定の空間を狙って冷却する構造になっています。対象となる空間の温度を素早く下げることができるため、時間をかけずに快適な温度を実現できます。例えば、イーズの「スポットバズーカ」は、家庭用エアコンの最大風量よりもはるかに大きい約4倍の風速で風を送るので、遠くからでも狙ったところをスピーディーに冷却できる構造になっています。

メリット2:簡単に設置できる

スポットクーラーは、高価で複雑な治具・工具を必要とせずに設置できます。付属品の取り付けも簡単なので、設置してからすぐに使用できます。

メリット3:柔軟に冷却場所を変えられる

スポットクーラーは、コンパクトで簡単に持ち運びができるため、移動の手間もかかりません。そのため、必要なときに必要な場所に移動させて使えます。また、エアーパイプも用途・設置場所に応じて延長することができます。

メリット4:コストを削減できる

スポットクーラーは、冷却を必要とする特定のスペースに風を集中させるため、部屋全体に作用するセントラルエアコンに比べるとエネルギーの無駄がありません。冷却スピードが速いので、状況に応じていつでも電源のON/OFFもできます。

メリット5:容易にメンテナンスできる

スポットクーラーは、複雑なメンテナンスも必要としません。定期的にフィルターの点検・清掃をして、結露水を取り除くなどのメンテナンスのみです。

■スポットクーラーのデメリット

スポットクーラーには、以下のようなデメリットがあります。

デメリット1:冷却場所が限られてしまう

スポットクーラーは、特定の場所しか冷却できないため、室内全体を冷却したり、屋外で利用したりするのには向いていません。しかし、スポットクーラーの利用目的が熱中症対策であれば、冷却場所が限られることは大きなデメリットにはならないでしょう。実際に、熱中症対策で重要になるのは、室内全体を冷却することではなく、室内で作業をしている人に冷風を送ることだからです。スポットクーラーは、室内全体を冷却できないかわりに、ターゲットとする場所を素早く冷やせるので、熱中症対策としては有効に作用します。

デメリット2:音がやや大きくなる

スポットクーラーの騒音レベルは、最大値で70dBくらいになるものがあります。騒音レベルが60dBくらいの冷風扇が多い中で、スポットクーラーの騒音が冷風扇よりも大きくなる場合があるのは事実です。しかし、70dBというのは、騒々しい事務所や工場などの作業場の一般的に騒音レベルに比べれば低い水準なので、スポットクーラーの音が作業の妨げになることはほとんどありません。また、スポットクーラーは、数十メートル離れた遠くから作業場を冷却できるので、作業者が実際に体感する騒音レベルはもっと低くなります。

冷風扇のメリット・デメリット

冷風扇のイラスト 続いて、冷風扇のメリット・デメリットについて解説していきます。

■冷風扇のメリット

冷風扇には、以下のようなメリットがあります。

メリット1:広範囲に影響を及ぼせる

水蒸気を発生させて、その水蒸気を風で届ける冷風扇は、スポットクーラーに比べると、広範囲に影響を及ぼすことができます。ただし、先ほども書いたように広範囲に届けられることと、熱中症対策になることはイコールではありません。また、この後にデメリットのところでも書くように、水蒸気を発生させることがむしろ熱中症を促進してしまう危険もあります。

メリット2:開放された空間で使いやすい

冷風扇は、開放された場所で使うのに適しています。例えば、屋外のライブ会場などで、会場全体を冷却したいときは、冷風扇の方が全体を満遍なく冷却できる効果を得られます。

■冷風扇のデメリット

冷風扇には以下のようなデメリットがあります。

デメリット1:密閉された空間では、むしろ熱中症を促進してしまう

冷風扇は、仕組みのところでも解説したように水蒸気の気化熱を利用するので、温度を下げることはできますが、湿度は上がってしまいます。厚生労働省の資料によると、気温が同じ28℃であっても、湿度が50%なら熱中症警戒領域にはなりませんが、湿度が50%を超えると警戒領域、75%を超えると厳重警戒領域になります。気温が32℃だと湿度70%で熱中症の危険領域になってしまいます。つまり、熱中症を予防するには、温度管理と同じく、湿度管理が重要になるのです。夏場の湿度が75%を超えることも珍しくない日本では、湿度を上げることでかえって熱中症を促進してしまう危険があるのです。 出典:職場における熱中症予防対策 – 厚生労働省

デメリット2:水の補給が必要になる

冷風扇を使うときには、水蒸気を発生させるための水を定期的に補給する必要があります。設置後のメンテナンスが定期的な掃除に限られるスポットクーラーに比べると、水の補給を必要とする冷風扇は手間が余分にかかる装置と言えるでしょう。

熱中症対策にはスポットクーラーがおすすめ

スポットクーラーと、冷風扇の違いを比較してきました。一般的に、冷風扇は広範囲を冷却できて、熱中症対策にもなると考えられています。確かに、乾燥した地域や、屋外では冷風扇は威力を発揮できますが、日本の夏場のように湿度が高い環境で、室内など密閉された場所では、冷風扇の利用はむしろ熱中症を後押しする結果になってしまいます。 したがって、湿度の高い夏場に、工場や体育館などの密閉空間で熱中症対策をしたいなら、スポットクーラーを導入することをおすすめします。 熱中症対策をはじめ、空調による快適な環境づくりには、ヒートポンプ式のエアコン、 特に湿度を下げた気持ちのいい冷風を大量に出せるイーズの「スポットバズーカ」がおすすめです。 スポットバズーカのご案内はこちら スポットバズーカ 関連記事:冷風扇・冷風機は実際、熱中症対策として効果があるのでしょうか?

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